名作速読朗読文庫vol.500高浜 虚子全集読上機能付き


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Jun 22, 2017

À propos de 名作速読朗読文庫vol.500高浜 虚子全集読上機能付き

高浜 虚子は明治・大正・昭和の三代にわたる俳人・小説家である。 ホトトギスの理念となる「客観写生」「花鳥諷詠」を提唱したことでも知られる

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高浜 虚子(たかはま きょし1874年〈明治7年〉2月22日 - 1959年〈昭和34年〉4月8日)は明治・大正・昭和の三代にわたる俳人・小説家である。

ホトトギスの理念となる「客観写生」「花鳥諷詠」を提唱したことでも知られる

本文内容見本

俳句への道 高浜虚子

 私等は、日本という国ほど景色《けしき》のいい所は世界中ないような心もちがします。こういうと世界の国々を知っている人は、そんな事はない、何処《どこ》にはこういう景色がある、彼処《かしこ》にはああいう景色がある、それを知らないで、世界を充分見もしないで、ただ日本だけ見て、そんな独《ひと》りよがりをいうのは、いわゆる井の中の蛙《かわず》のたとえで、物知りには笑われるから、そんな事をいうのは慎《つつし》んだがよかろうというに極《きま》っています。

 それに違いありません。私がちょっと仏蘭西《フランス》まで旅行して来ただけでも、その途中でさまざまないい景色に接して参りました。中国の江南《こうなん》の景色、セイロンの落日の景色、仏蘭西のローヌ河畔の木の芽の景色、ムードンの森の驟雨《しゅうう》の景色、独逸《ドイツ》のライン河《がわ》の古城の景色、ベルギーのヒヤシンス・チュウリップ等の花畠《はなばたけ》、オランダの風車、倫敦《ロンドン》の霧等、数えれば数限りなくある。しかしながら、我《わ》が日本という国は山・谷・川・平野・湖沼・港湾・長い海岸線等が、狭い日本国というところに納《おさま》っておって、しかも暑からず寒からず、つまり酷暑酷寒というような自然の虐待を受けることなく、春夏秋冬がほどよく環《めぐ》って来て、変化に富んでいて、春夏秋冬の草木 禽獣《きんじゅう》虫魚、天文地理の諸現象、それらの変化を楽しむことが出来るということは、まずまず日本国などこそ尤《もっと》も天恵に浴しておるといってよかろうかと思います。

 そこで日本には昔からこの自然の景色を諷詠《ふうえい》し、自然と共にある人間を讃美《さんび》した文学がたくさんあるように思います。

 古い歌がまず第一番にそれであります。尤も古い歌には人情を諷《うた》い恋愛を諷い哀別離苦を諷い無常を諷うものが多いのでありますが、そのうちに風景を諷う歌もあるのであります。『万葉《まんよう》』の歌人 山辺赤人《やまべのあかひと》になりますと、自然の景色を詠《うた》うことが最も得意でありました。柿本人麿《かきのもとのひとまろ》にしましても景色を諷った歌もたくさんにあります。『源氏物語《げんじものがたり》』の類の物語、『枕草子《まくらのそうし》』の類の草紙になりましてもやはり景色を諷った部分がたくさんにあるようであります。謡曲の類であっても、やはり景色を諷ったものがたくさんに見受けられます。

 日本のそういった文学だけを挙《あ》げて、中国や西洋の文芸を挙げないで論ずるのはやはり井の中の蛙の譏《そし》りを免れないことになります。私等の知って居る極《きわ》めて狭い範囲内の中国の文芸や、また西洋の文芸のほんの一部分を覗《のぞ》いた感じからいうと、日本ほどその傾向は強くないような心もちがするのであります。

 日本では足利《あしかが》時代から連歌《れんが》とか俳諧とかいうものが生れて来るようになり、自然諷詠の傾向が強くなって参りました。殊《こと》に俳諧から発句《ほっく》というものが独立するようになってから、殆《ほとん》ど専門的に景色を諷詠する文学が興って来るようになりました。景色と申しましても春夏秋冬の変化に伴って起る現象を諷うということになったのであります。

 私等は日本の景色を誇りとすると同時に、この発句というものを我が国の文学として誇らしく感じて居るものであります。

 なぜ西洋には景色を諷う文学が日本ほど発達しないのかしら、と不思議に思うことがあります。また、絵になると、油絵や水彩画に風景を描いたものがたくさんあるのに、なぜ文学にそれがないであろうかと不思議に思うことがあります。それには私はこんなふうに解釈をして居るのであります。

 風景を写すのに長い文章で写すことは退屈をするものであります。美しい筆で美しい風景が叙されていても、その中に人間が出て来ないと退屈を感じてくるものであります。景色のみを書いた文章はどうも刺戟《しげき》が少《すくな》いのであります。人間が出て来て活動を始めると読者の心もちは急に引立《ひきた》って来ます。長い文章で景色のみを叙する事は不適当であります。が、此処《ここ》に十七字という極端に短い形の詩がありまして、それで景色を諷うことをします。三十一字の歌でもいえない事はないのでありますが、それよりなお短い十七字が最も適したものであります。

 連歌の発句、俳諧の発句と遷《うつ》って来まして今日では俳句という名前で呼ばれておりますが、これは発句といった昔のものと少しも変らないのであります。

代表作品

『寸紅集』(明治33年12月、ホトトギス発行所)子規との共編による写生文集

『帆立貝』(明治39年12月、俳書堂)坂本四方太との共編による写生文集。

『鶏頭』(明治41年1月、春陽堂)

『俳諧師』(明治42年1月、民友社出版部)

『柿二つ』(大正5年5月、新橋堂)

『伊予の湯』(大正8年4月、秀美社)

『虹』(昭和22年12月、苦楽社)

名作速読朗読文庫vol.500高浜 虚子全集読上機能付きProfessional版

vol 件数 作家名     タイトル カテゴリー/文字数/文字量

500 1 高浜 虚子 子規居士と余 随筆 51456 大

500 2 高浜 虚子 漱石氏と私 随筆 67609 大

500 3 高浜 虚子 俳句とはどんなものか随筆53716 大

500 4 高浜 虚子 俳句の作りよう 随筆 46932 大

500 5 高浜 虚子 俳句への道 随筆 65055 大

500 6 高浜 虚子 丸の内     随筆 23387 大

500 7 高浜 虚子 六百句     随筆 21372 大

合計冊数 7 合計文字数 329527

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